2017年10月7日土曜日

手足症候群


 一雨ごとに秋の深まりを感じます。
今朝は少し寒いくらい、「暑い」と文句を言っていた頃が嘘のよう。
毎年繰り返される季節の歩み、この秋はどんな楽しみがわたしを待っているのか?



スチバーガ錠


 新たなる抗がん剤に変更してから3週間余り、病院も退院し普段の生活に戻り始めました。ガンの「寛解」を目指しての抗がん剤の変更、恐れていた副作用が早くも私を苦しめ始めました。足裏にできた水ぶくれのような皮膚の異常、日に日に強くなり今では歩くことさえもままならない。「こんなに早く副作用の症状が表れるとは?」診察日に医師に問いかけます?

「それだけ抗がん剤の効果が出てきていますね、ガンに対する攻撃も期待できますよ」
「しかし、あまりにも痛みが強ければ止めてみるのもありです」
「もう少し様子を見てみましょう」

 医師は言いますが、わたしにしてみれば歩けなくなるほどの副作用はいかがなものか?
このままでは仕事さえもつづけることは困難。杖を突きながら歩く姿に同僚たちの目が突き刺さります。

 「命が助かるのであればそれもいたしかない?」

そう自分に言い聞かせ、倍になった通勤時間をとぼとぼと歩いていくだけです。

避けては通れない「抗がん剤の副作用」です。

 前回のネクサバールのときと比べものにならないほどの速さです。この先に待っている手の腫れ、チクチク、ピリピリとした痛みで物をつかむことさえできなくなる。「QOL」が明らかに低下していく、髪の毛は抜け、別人のようになっていく私を会社は受け入れてくれるのか?とても心配です。これから数か月苦しい日々がつづきますが、それに耐えられるのか?「陽から陰へ」これが、ガン患者の現実ですね。

 「それくらいの副作用でと嘆いているとは情けない奴」と思っておられる方もおられると思います。確かに、もっと苦しい抗がん剤の副作用に悩んでおられる方々も多いですよね。「仕事ができるだけで幸せですよ」と、病院から出られず何か月も苦しんで起き上がることさえできない人もいる。その人たちと比べたら、私は救われているのかもしれません。ガンもいろいろ、症状もいろいろ、残された時間もいろいろななか、余命半年と言われながらも生きながられている私、「モルヒネ」の力を借りながら乗り越えていかねばならない壁です。

激烈な痛み


 あまりの痛さに「こうまでして生きていく意味があるのか?」そんな考えが頭をよぎることがあります。日に日に増す足の痛み、ついに立てなくなりました。足先が触れるだけで激烈な痛みが全身を駆け抜けます。また、横になっていても、足を焼かれているような痛さが襲う、とても仕事どころではない痛みに、抗がん剤の投与をやめる決断をしました。とりあえず1週間止めてみます。

 「それで回復することを願いながら?」

 スチバーガ錠は3週間服用し1週間止める。そして、また3週間服用する。このサイクルを繰り返しガン細胞の縮小を待つ。しかし、2週間でギブアップ。これほど早く副作用に苦しめられるとは思いもしませんでした。

 末梢神経を攻撃する抗がん剤。唇、口内炎、指先と痛みが広がっていく。レスキューの力を借りながら痛みが治まるのをじっと耐える。ひとつの山を越えるまで、1週間?2週間、1か月?どれくらいつづくのか?しかし、いつしか痛みは和らいでいく、人間の凄いところ細胞が再生していく。ガン以外の細胞が再生するまでの我慢比べ、そして、次の痛みへと続いていくのです。

 とりあえずは足の症状を悪化させないことが大事。皮膚がしだいに硬くなっていき、やがてひび割れを起こす。そこからバイ菌が入り込まないようにいつも清潔を保てなくてはなりません。痛みに耐えながらもしっかりと患部を洗う、保湿クリームをまんべんなく擦りこむ、これくらいの対策しかありませんが、つづけていくしかありません。




 前回もそうでしたが、ある日突然に痛みが消え去っている。
何故だかわからないけれど消えている。その日までの辛抱です。
そうして一つ一つ乗り越えて行くんです。抗がん剤を変えなければよかったと後悔もしますが、癌を友に生きるために乗り越えていく壁。

「寛解」を目指し、その日が来るまで闘いはつづいていくのですね。

私は「ガンを友に生きる」そう決めたのですから。

 紅葉が鮮やかな色合いをみせる京都の秋。
色とりどりに染まっていく山々や寺社の庭園を今年も見れそうです。その風景を眺めながら「命の重さ」を感じる季節。

もう一年、もう一年とガンと友に生きていきます。







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